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「有り難き恩師」=「内なる観察者の声」

2017年04月26日

                              平成:卯月 

 

景気が悪いですねー。

ちょうど日本が、「失われた20年」というデフレ渦に詩人の加島祥造に逢った。

世間が良い悪いと言ったって、それが君にとって何だというんだね。世界を動かすほどお金持ちかい。」「えっ!・・・・(絶句)

それから加島祥造との付き合いが始まる。

加島先生は「老子」研究の大家であり、「老子=タオ」の現代語訳、詩集「求めない」などいくつかのベストセラーを世に出した。都会を離れ伊那谷で、自然に触れながら、簡素な暮らしを愛し、自由で柔軟な人生を送られた。「伊那谷の老子」は92歳で亡くなられたが、愚生の尊敬すべき恩師である。

 

「求めない、すると簡素な暮らしになる。」

「求めない、すると風の涼しさ。」

「受け入れる、すると優しい気持ちになる。」

「高い山の美しさは、深い谷が作る。」

「無為とは、万象の内なるリズムに従って為すこと。」

「不争。」(争わず)

 

現代社会を俯瞰するに、自分を受け入れず、他人を受け入れず、喜びも悲しみも受け入れない人間が、増えているような気がする。物が溢れ、不必要なものまで求めすぎた結果か。

便利になることは裏を返せば、不自由になる事である。

資本主義とは比較することであるが、「求めない」を実行すると比べなくなる。格差の有無など、大した意味がない。内なる観察者に従いゆっくり静かに生きなさい。といつも天国からメッセージを送ってくれる。恩師とは有り難いものである。

先生とは、晩年、アダムスミスの「道徳感情論」を題材に対談したことがあるが、スミスは老子との文献上の接点が無かったにも関わらず、無為自然の境地を理解していたと思われる。前出の書の冒頭で、「どんなに利己的な人間であっても、人の幸不幸に心を動かさない者はいない。」と言及し、さらに同書の中には、Tranquility(静けさ)、Virtue(美徳)Humanity(人間愛)、Nature(自然)という本来人間生活に大切な単語が頻出する。

もう少し、先生とスミスや老子について語りたかった。

「静けさと平和」を得る又は維持するには「今の自分の持つもの」に満足することであり、

ポピュリズムなどに惑わされず、無為自然に物(人)の本質を大切に暮らしたいものである。

洋の東西を問わず、内なる観察者は、同じように我々の中に存在する。

 (如是閑)

 

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