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確定申告にお困りの方へ(個人) / 経費として認められるもの

先生! 先日教えていただいた確定申告、 自分でやってみようと思って、個人事業者のフリをして帳簿をつけてみました。
それはよい取り組みですね!
そうですよね! でも、難しいです。何がどの科目に該当するのか、よくわからなくて。

どんな経費の科目に迷っているのですか?
携帯の電話代は通信費、ドレス代は消耗品。 プチ整形代は修繕費でよいのでしょうか?
ぷ、プチ整形? どんな事業を想定して帳簿を付けているのですか? 事業によっても、計上できる経費が変わってくることがあるのですよ。
それはもちろん、このわたしですから! “アイドル”です!!


それでドレス代やらプチ整形代という経費を考えたのですね。
そうです、先生! 経費計上できるかどうかは所得税にも影響しますよね。 少しでも節税できるように、経費計上について教えてください!
新人君のやる気を大切にしたいですからね。 よく問い合わせがある科目を中心に、経費計上について説明しましょう!
1. 個人事業主の経費と所得税の関係
2. 青色申告決算書に記載されている経費科目
3. 質問の多い科目(仕事とプライベートで併用するもの)
4. 質問の多い科目(その他)
5. 経費にはならないもの

では、ひとつずつ解説していきましょう。

確定申告にお困りの方へ(個人) / 経費として認められるもの
ポイント解説

1. 個人事業主の経費と所得税の関係

個人事業主の場合、事業での売上から経費を差し引いたものが所得となり、その金額から控除を差し引いて算出した課税所得に税率を乗じて算出した所得税を納税します。

[ 個人事業主の所得税 ]

売上 - 経費 - 各種所得控除 = 課税所得

課税所得 × 税率 = 所得税

マイナスする経費や控除が多くなれば課税所得が減り、結果として納税額も減る、ということです。

所得税の税率は課税所得額によって異なります。

[ 所得金額別の所得税税率 ]

所得額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え、330万円以下 10% 9万7,500円
330万円を超え、695万円以下 20% 42万7,500円
695万円を超え、900万円以下 23% 63万6,000円
900万円を超え、1,800万円以下 33% 1,53万6,000円
1,800万円超 40% 2,79万6,000円

毎月きちんと記帳作業を行っていた場合、所得税の税率を把握していれば、年末に近付くにつれて翌年に納めるべきおおよその所得税が計算できます。
それだけでなく、経費を使うタイミングに役立てることもできます。
以下の例を見てみましょう。

[ 経費と所得税の関係 ] この経費が増えると損する? 得する?

【設定】
毎月きちんと帳簿を付けてきたフリーカメラマンAさん。
12月はじめの段階で、今年の課税所得が350万円になりそうだと予想。
買い換えの必要を感じている仕事用の撮影機材(30万円)をいつ買う?

【年内に購入した場合】

予想課税所得が30万円減ることになる → 320万円
所得税を計算すると
320万円 × 10% - 9万7,500円
= 22万2,500円

【来年以降に購入した場合】

予想課税所得はかわらない → 350万円
所得税を計算すると
350万円 × 20% - 42万7,500円
= 27万2,500円

【結論】
年内に機材を購入すれば、今年の所得税納税額が5万円減る
よって、必要なものならば年内に購入した方がお得。

所得金額は所得税のほか、住民税や国民健康保険料にも影響するため、更なる減額の可能性があります。

このようなことから、経費を正しく計上できることは、個人事業主にとって大切だということがおわかりいただけると思います。

2. 青色申告決算書に記載されている経費科目

個人事業主が確定申告の際に提出する『所得税青色申告決算書』には、経費科目として以下のものが記載されています。

[ 青色申告決算書の経費科目 ]

科目名 内容と個人事業主が利用する代表的なもの
租税公課 租税や公課を計上する科目。
例:自動車税、自動車所得税、自動車重量税、収入印紙代、固定資産税、不動産所得税、登録免許税、事業所税、事業税、公的団体の会費、納付する消費税 等
荷造運賃 顧客等に対して商品等を送る際に宅配業者に支払う運賃を計上する科目。仕入れで利用した場合は、原則として『仕入高』に計上します。
例:宅配料、運送料、不良品等で返送された場合の送料、荷造りに要する資材(段ボール、ガムテープ等)代(『消耗品』でも可) 等
水道光熱費 水道代、ガス代、電気代、燃料代等を計上する科目。
例:電気代、水道代、下水道代、ガス代、灯油代、重油代、冷暖房費 等
旅費交通費 業務遂行のための移動に要する料金を計上する科目。従業員に対する出張手当(日当)は含まれますが、事業主に対する日当は認められないので注意。仕事と観光を兼ねる移動の場合は、日数に応じて按分処理を行う。
例:ガソリン代、タクシー代、電車代、バス代、出張宿泊費、高速道路料金、駐車料金(一時的なコインパーキング等の利用) 等
通信費 通信のために要する料金を計上する科目。
例:固定電話代、携帯電話代、公衆電話の利用料、インターネット関連費、切手代、ハガキ代、書留料、速達料 等
広告宣伝費 不特定多数の人に対する広告・宣伝に要した料金を計上する科目。
例:求人広告代、カタログ制作代、ホームページ制作代、ダイレクトメール代、看板、ポスター制作代、試供品提供代、広告用撮影代、展示会出展代 等
接待交際費 仕入先・得意先をはじめとする、事業に関係する人に対しての接待や贈答等の行為のための支出を計上する科目。
例:飲食代、食事代、香典、お中元、お歳暮、お祝い金、お花代、お車代、謝礼金、見舞金、ゴルフプレー代、ゴルフ場利用税 等
損害保険料 事業に被害を及ぼす災害や事故から事業を守るための保険のための支出を計上する科目。
※個人事業の場合は、生命保険は含まれない。
例:自動車任意保険、自賠責保険、損害保険、障害保険、火災保険、地震保険、盗難保険 等
修繕費 事業で利用する固定資産を維持するために、修理・交換等に要した支出を計上する科目。
例:OA機器等の保守料、修理代、点検料、車検料、自動車整備代 等
消耗品費 事務用品や備品等のうち、10万円未満のものや使用可能期間が1年未満のものを購入した費用を計上する科目。
例:事務用品(ボールペン、コピー用紙等)代、消耗品(電池、電球、フィルム、軍手、トイレットペーパー、潜在等)代、備品(10万円以下のデスク、椅子、OA関連機器等)代 等
減価償却費 時間の経過とともに価値が減少していく固定資産の価格を耐用年数ごとの費用として算出したものを計上する科目。
例:(機械装置、建物、ソフトウェア、車両、工具器具備品等)当期分償却、当月分償却 等
福利厚生費 従業員のための行事や医療費、慶弔費等、福利厚生を目的としての支出を計上する科目。従業員がいない場合は利用できない。
例:飲食代、医療品代、社員旅行代、香典、お祝い金、健康診断料 等
給料賃金 事業主以外の従業員(家族の場合は『青色専業専従者』の届出が必要)に対して支払った給与等を計上する科目。
例:給料、賞与、時間外手当、(家族、住宅、出張等)各種手当 等
外注工賃 事業に必要な業務の一部を外部に委託した場合の費用を計上する科目。
例:外注費 等
利子割引料 借り入れに対して発生する利子や、手形を割り引く際に支払う割引料を計上する科目。
例:借入金利息、ローン利息、手形割引料、手形取立手数料、手形書換利息 等
地代家賃 事務所、倉庫、駐車場など、事業に必要な土地建物の使用料を計上する科目。
例:事務所家賃、月極駐車場代、倉庫賃借料、借室料、貸オフィス利用料 等
貸倒金 売掛金や未収金などが回収不能(貸倒れ)となった経費(損失額)を計上する科目。
例:貸倒金
雑費 販売費・一般管理費のうち、上記科目に該当するものがなく、別途科目を設けるほどの重要性もない小額な費用を計上する科目。
例:コピー代、クリーニング代、掃除用品レンタル利用料、清掃料、産業廃棄物処理料、現金過不足 等

どの経費にどの項目を使うかの判断が難しいときや、これらの科目とは区別して管理したい経費がある場合は、自分で科目を追加できます。
『所得税青色申告決算書』には空欄が設けてありますので、その空欄に新しい科目を記載して利用します。

計上に利用する科目は、「この科目以外では許されない」といった厳密なものではありません。
大切なのは、自分で決めた経費科目のルールを変更しないことです。
例えば、ガソリン代を消耗品費で処理すると決めたら、それを継続しましょう。
そのときの気分で「今回は消耗品費で」、「今回は旅費交通費で」と変更してはいけません。同じ経費は常に同じ科目で処理します。

3. 質問の多い科目(仕事とプライベートで併用するもの)

自宅の一部を事務所として利用する場合は、家賃・水道光熱費・通信費等はそれぞれの割合を計算し、仕事で使う分が経費として認められます。
一台の車を仕事でもプライベートでも利用する場合も、同じように割合で計算します。

家賃・火災保険

賃貸の場合は、仕事で利用するスペースの専有面積によって割合を算出します。

家賃 = 1か月の賃貸料 × 使用面積の割合( 仕事場面積 ÷ 全体の面積 )

住宅ローンを支払っている場合は、利息のみが経費対象です。
支払った利息に仕事で使用している割合を乗算して、経費として計上する額を算出します。
火災保険も同様です。仕事で使う割合の分のみ、経費として計上できます。

水道光熱費

電気料・ガス代・水道料、灯油代等は、比率計算で仕事で使う分を算出します。
この場合の比率は自分で決められますが、実態に即していることが大切です。
税務署から問われた際にきちんと説明ができ、それが妥当だと判断される範囲での設定を心がけましょう。
算出方法としては、家賃と同じ割合を利用する、仕事で使う時間数で割合を決める等がよく利用されています。

通信費

固定電話代、携帯電話代、インターネット接続料、プロバイダー利用料等は、水道光熱費と同様に、比率を利用して算出するのが一般的です。

車関連

仕事専用の車を所有して、仕事とプライベートの利用を完全に区別している場合は、営業車にかかるすべての費用は全額経費として計上します。
しかし実際には、1台の車を併用するケースが多いでしょう。
車の場合の比率としては、一週間のうち、もしくはひと月のうち、何日仕事で使用するのか(A÷7 もしくは A÷30)を基準に考えるとよいでしょう。
ガソリン代のみでなく、駐車場代、修理費、自動車税、自動車保険といった経費、また、購入した場合は減価償却費も、仕事で使用する分は経費として計上します。

4. 質問の多い科目(その他)

仕事とプライベートの併用が問題となる科目以外にも、質問の多い科目があります。

接待交際費

懇親会や打ち上げ等、仕事に関連する場合は飲酒費用も経費となります。領収書に相手の名前と用件をメモして、接待交際費として計上しましょう。
そのほか、お取引先へのお中元・お歳暮といった贈答品代、仕事関係の冠婚葬祭費も接待交際費です。
飲酒はなくても、コーヒーを飲みながら、ランチを食べながら打ち合わせということもあります。こうした飲食代も経費計上できます。
この場合は、接待交際費よりも、打合せ会議費などの科目が適切といえます。『所得税青色申告決算書』にはない科目のため、多く利用する場合は自分で設定するとよいでしょう。

交通費

打ち合わせや営業目的での移動はもちろんのこと、仕事で必要となる消耗品の買い出しに要した交通費も経費となります。
公共交通機関を使用した場合は領収書がないため、ついつい計上漏れしてしまいがちなのが交通費です。
日にち、料金、目的をメモしておく癖を付けて、計上モレを防ぎましょう。

備品や消耗品

業務上で必要な備品や消耗品は、全額が経費として認められます。
ただし、10万円未満のものは一括で経費となりますが、10万円以上のものは資産となり、定められた耐用年数に応じた減価償却が必要です。
※少額減価償却資産の取得価格の損金算入の特例により、10万円未満が30万円に拡大された減税措置があります。
現状は平成26年3月31日までの間に取得したものが対象ですが、改正によって変更となることも考えられますので、利用する際は国税庁にて確認するようにしましょう。

勉強や資料代

仕事には資料収集やスキルアップのための勉強が必要不可欠です。
よって、情報・資料収集や受講料等も必要経費として認められます。
書籍や専門雑誌代、セミナー受講料、通信教育費等が該当しますが、『所得税青色申告決算書』には適当な科目がないので、『新聞図書費』などとして自分で設定するとよいでしょう。

税金

事業税は経費計上できます。
個人事業でも売上に応じて事業税が発生しますので、覚えておきましょう。

事業主への給与は?

サラリーマンから個人事業主となった人にとっては、毎月もらうお金は給料として処理するものと思いがちですが、個人事業主の場合、事業主が受け取る給料は、経費にはなりません。
サラリーマン時代と同じように、毎月同じ日に同じ額をプライベート口座へ移すという方法で問題はありませんが、帳簿上は給与ではなく、『事業主貸』という科目で処理します。

なぜ給与ではなく、事業主貸なのか、考えてみましょう。

給与所得者は、給与所得に対して課税され、所得税を支払います。
個人事業主は、事業で得た利益に対して課税されます。
このとき、個人事業主が給料を経費にできてしまうと、利益分をすべてプライベートに移動させてしまえば利益がゼロとなり、課税されなくなってしまいます。
それではおかしいですよね。
よって、利益は利益として認識された上で、経費科目ではない『事業主貸』という科目を使って計上します。
事業主貸・事業主借という科目は、仕事用のお金とプライベート用のお金の動きを記録するためのものなのです。

経費ではないので、これらの残高は翌年へ繰り越しません。
そこで、貸し借りの金額を相殺し、差額を翌年の期首の『元入金』として計上します。

[ 貸借対照表で見る事業主貸・借の関係 ]

年末の貸借対照表

期首元入金 = 前年末の元入金 + 所得金額 +事業主借 - 事業主貸

これが、個人事業主にとっての給与となります。

サラリーマンのように、毎月である必要も、毎回同じ金額である必要もありません。自由に移動可能ですが、事業に支障のない範囲での移動が理想です。

5. 経費にはならないもの

最後に、経費にはならない支出もピックアップしておきましょう。
よく質問されるものですが、以下のものは事業の経費として認められませんのでご注意ください。

[ 経費にはならないもの ]

  • 所得税
  • 住民税
  • 事業主の健康保険料
  • 事業主の国民年金
  • 事業主の借金の返済金(事業とは関係のない)
  • 罰金
  • 税金などの延滞金
  • 出張手当(日当)
  • 従業員がいない場合の福利厚生費
  • 事業主に対する給与賃金           …… など

個人事業主の中でも、特にフリーランスとしてひとりで事業を行っている場合は、プライベートと仕事との境目がわかりにくいものです。
お金を払うときには、自分の中で仕事用かプライベート用かの区別を意識するようにしましょう。
できれば、同じお店で仕事とプライベート、両方の買い物をする際は、会計を分け、別々のレシート(領収書)をもらうようにすると記帳がスムーズです。

経費計上のポイントについてご案内いたしましたが、ご不明な点・ご相談等がございましたら、お気軽に吉澤会計事務所までお問い合わせください。

税理士法人吉澤会計事務所
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